旅日記

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1日目 8月14日(火)炎天下


■出発

いよいよ念願の一人旅である。ボーナスで念願のMTB(9ちゃん、メス、猫目)とテント(田園調布ちゃん、メス、ふくよか)を購入してついに実現とあいなった。

何が起こるか、何が得られるか、はたまた本当に面白いのかどうかも解りませんがとりあえずチャレンジである。

4:10起床!
昨晩もお湯をためてしっかりと風呂に入ったが、今朝もシャワーを浴びる。
当分風呂には入れないかもしれないので大事なところもごしごし洗う。
昨夜は小泉首相の靖国参拝でニュースをずっと見ていたのでちょっと寝不足である。

出掛けにウータンを玄関に向かって置く。
成功したら誉めてもらうのだ!うんうん、一人上手め。
しっかり荷物を積み込んで縛り付け5:20、ちょっと涼しい新鮮な空気の中、出発!

本日の目標は銚子、メインは犬吠崎である。
大まかなコースは成田街道(国道296)をずーっと直進してぶつかった国道126号に入っていくつもり。
これなら簡単!方向音痴の私でもいけそうだ。

江戸川を渡る前に川原に下りてみる。
朝日が川にきらきら反射して綺麗だなー。
子犬が主人を追いかけて草むらに足を取られながら走っている。もう腹が立つぐらい可愛い!
「へげへげへげ」と息を切らして走るその愛らしい姿をみて、
「必ずや犬吠崎にたどり着いて『ニャーン!』と叫ばなくては」との決意をまた強く持った。
それがいつも犬をみるたびに「ニャーン」と言わせようとしている私なりの罪滅ぼしなのだ!

357号で船橋まで進み、ちょっと迷いながらも成田街道の入り口までたどり着いたところで朝ご飯。コンビニおにぎりを買う。
今回は自炊のセットは持っていかなかった。それを9ちゃんに積もうとするとさらに2万円以上するサイドバックを買わなくてはならなくなるのだ。だから今回はできるだけ荷物を少なくした。
黒い旅行バックに主なものとテントを入れ、あとは銀マットとウエストバックを肩からかけているだけだ。

ちなみに今回はディスクマンも持っていかなかった。走行中やテントの中で音楽が欲しいなとは思ったが、周囲への感度が下がるのであえて置いてきた。これは大正解であったと思う。

食料と水分と休憩をしっかりとって7:30、成田街道へ入る。


■成田街道との闘い

……しかし狭い!
歩道を走っていてもバスに轢かれそうになるぐらい。普通の市街地だからしょうがないがこんな狭い2車線でバスなんか通るなっつーの!車の量も多いしなかなかスピードが出せない。

やがて山道に入ると車に轢かれそうな恐怖はなくなったが……坂道が出てきた。
ところで、わかってはいたけど坂道というのは本当に辛い!
オーバーではなく毎回必死に重いペダルをこぐ。せっかくの整った顔も苦痛にゆがんでひどいありさまになり(想像におまかせします)呼吸も乱れて顔から汗がぼたぼた落ちてくる。

さらに山では道がくねっていて、登っている間にもどこまで登りが続くのかもわからない時がある。
そんなときはまさに自分との闘いだ。

言い忘れていたが今回は「絶対に坂道で自転車を手で押していくことはしない」、「坂の途中で休まない。必ず登りきってから休む」ときめている。
ので、辛い坂道は休みたい自分との闘いとなるのだ。

角度のある坂ももちろん辛いが、なだらかな坂がずーっと続くのもきつい。まさに地獄である。

しかし地獄が辛い分、極楽は快感だ。
そう。下りである。

場所にもよるが山の下り坂は刺激的だ。
距離は長いし角度はあるし、カーブがあってスリル満点!
加速がすごくて風が気持ちいい。FUJIYAMAよりもおもしろいのだ。

だから登りも耐えられる。のぼりのあとには必ずくだりがあるからだ。

だけどこんなブルーなこともあった。
坂道を極楽下りしていると道の前方に上り坂がみえた。
「よーし、加速つけて一気に距離を稼ぐぞー」と体重を前にかけたのだが、くだりと登りの境を横切る道があって信号までついているではないか。おまけに今にも赤になりそうでおばちゃんが農作業車で信号待ちをしている。

「あ、あ、あー!」結局信号は赤に変わり泣く泣くブレーキ、おばちゃんは私の目の前をトトトトと横切る。
加速ゼロからの登りがきつかったのは言うまでもない。

多古というところで本日1、2を争う極楽を味わったあと、その先にあったラーメン屋で昼ご飯。
味はともかく安かった。ラーメン、餃子、ライスで腹いっぱいになって800円。
水分もしっかりとって出発!


■農道

成田街道も残り10km程度になったところで、左折できる道が出てきて、青い看板に「←銚子」と書いてある。
予定では突き当りまで成田街道を進み、その先の126号に入るはずであった。
でもこの道が銚子に進むのなら、確実に近道になるはずである。どうしたものかなーと矢印の先をみてみると「東房広域農道」と書かれていて、ちょうどここで曲がるところから農道になるらしい。

「ずっと国道だったしいいかなー」と思い、予定を変えて農道に入った。
地図を見てもどこにあるのかわからない道だが、大丈夫でしょ、きっと。フレキシビリティーが俺の長所。

しかしどこまでも田んぼが続いている。
若い稲の海が風に揺られ、真夏の太陽の日差しがその緑をよりいっそう濃いものにしている。
そのうねりは美しいが……、飽きてきた!

炎天下、淡々と代わり映えのない田んぼの横を進み続ける辛さ。
こうなってくるとちょっとした坂道が欲しくなってくるが、もちろん平坦な道。

約20kmもそんな道を行き、やっと農道を抜ける。


■迷子

抜けたところのT字路で迷ってしまった。
いまどこにいるかがわからない。おそらくこっちだろうという方向にとりあえず向かう。
こんなときは不安である。

暑さで苦しくなってきた。肩からつるしていたウエストバックを何とか荷台に乗せる。胸を圧迫していたようだ。
太陽の位置を頼りに、なんとか近づく方向に進む。

すると県道71号線というのに出くわした!「やったー」
案の定地図にも載っている。もうここまできていたのか。銚子までもうすぐだー。と思ったのもつかの間、前方に本日No1の強烈上り坂地獄がそびえ立っていた!
これが本当に辛かった。グラサンかけている目ががーっと熱くなったり、バランス崩して転びそうになったり。

必死になってなんとかかんとか登りきる。
息を切らして汗をぼたぼたたらしながらちょっと日陰で休憩。でも達成感はあるんだな。

坂を越えたらすぐに銚子入り。
街に入るとついに「↑犬吠崎 13km」との看板が見えた!感激である。

延々と直進して、14:40ついに銚子港にたどり着いた!


■犬吠崎

とりあえず港の先っちょまで行く。感無量。
船が所狭しと並んでいる。

釣りしてた地元のおっちゃんに写真をとってもらう。
日陰で寝ていた男に声をかけられる。自転車で東京から来たっていったら驚いていた。

いよいよ犬吠崎だ!
坂を登って崖から雄大な太平洋を見渡して……言葉を失いました。

一気に視界が開ける感じ。空も海も濃い青できれいだったなー。本当に来てよかったと心から思った。
150円払って犬吠崎に登る。
海に向かって「ニャー!!」と叫ぶつもりだったのだが、狭い上におじいちゃんおばあちゃんや赤ちゃんまでいたのでディフェンシブな声でつぶやいてみた。

その後君ヶ浜公園でテントを張り、近くで海鮮丼を食べてきた。
17:11。公園の奥にある机でこれを書きはじめ、いまはテントのなかで書き終わろうとしている。

あたりはすっかり暗くなって、花火の音がちょっとうるさい。
心地よい疲れを田園調布ちゃんに包んでもらいながら、初日の夜は終わった。

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