旅日記02

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3日目 2004年8月9日(月) 下田→戸田
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■石廊崎

目が覚めると4:20だった。
なかなか寝付けなかったが、ちゃんと寝られたらしい。
昨日は山形は負け、仙台は引き分けであった。ショック……。

顔を洗って歯を磨く。東の空に太陽が昇っている。
今日も天気がよさそうだ。
テントをたたみ出発の準備をする。テントも乾いている。

6:00
下田公園で海を眺めながら飯を食べる。
亀○のような形をしたエッチな島が目の前にある。
おかしくって写真を撮った。

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下田はペリーが来航し開国を迫った土地である。
開国にちなんだ銅像や場所がいくつかあった。
とりあえずペリーの銅像に向かって「てめー、日本を武力で脅しやがって!」と小橋チョップを入れてやった。
「ゴ〜ン」という音が響きちょっと焦る。

いろいろ下田を満喫したあと次は伊豆の最南端、石廊崎へ向かう。
朝日に光る海を横目に快調に飛ばす。
美しい海にチャリを停めて写真を撮っていると、上品そうなおばあちゃんが犬の散歩をしていてこちらを見ていた。
「こんにちわ」と声を掛けるとにこっと笑って答えてくれた。
「どこからきたの」に始まる一連の質問のあとしばし雑談。
「テントで寝てるの?一人で?寂しくないの?」
「ちょっとさびしいけど、大丈夫です。伊豆は一度来てみたかったんですけどきれいなとこですね」
「ここから石廊崎にかけてさらに絶景になるよ。台風が近づいているんで気をつけてね」

おばあちゃん&犬と別れて南端に向けて出発。
天気も景色もきれいで気持ちがいい。
気が付くと出発する決め手になった「Beautiful Dreamer」という曲を熱唱していた。
「来てよかったなぁ」

8:00
石廊崎に到着。チャリ停めて歩いて登る。
ここは突き当たりに灯台があるのだと思っていたが、さらに先のホントの南端に神社があった。
「縁結の神」とあった。
伊豆の最南端だ。崖の先端まですすむ。手すりがあったがそれを片足乗り越えて海を見渡す。
まさに絶景!風も気持ちがいい。

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ここであれをやった。
「××の△△で○○を叫ぶ!」てヤツだ。
伊豆の南端で「○○〜!」と力いっぱい叫んでみた。
(○○に何が入ったかは想像にお任せします)
まだ朝早くて一人でよかった。

灯台に戻る。
灯台の周囲は立ち入り禁止となっていたが、誰もいないので乗り越えて(ごめんなさい)タイマーで2SHOTしてきた。


■名も無き坂

ここから海を左手に伊豆を半周することになる。
とりあえず次なる目標は、野生のサルが見れるという波勝崎である。
8:30再びチャリに乗り込み出発。
ここからはホントにキツかった……。

まず、9ちゃんの具合が少しおかしくなってきた。
漕ぐたびにキーキーと音が鳴り出したのだ。確かにこれまで坂道で漕ぐたびに相当の負荷をかけてきたので、ペダルの付け根部分がおかしくなってきたのだろう。
とはいえ坂道は続くので負荷をかけないわけにはいかない。
パンクならば直せるが、チャリが壊れたら自転車屋まで行かないと直せない。
不安だ。

そして坂道。
昨日も書いたが、伊豆の海沿いは山と山の境のちょっとした平地に街がある。
そこをバカ正直に伝っていくのだ。つまり、今日は山ばかりを走ることになった。
昨日までの「箱根越え」だの「天城越え」だのは旅の目標としていたし、そこでゴールを目指しているのは楽しくもあったが、今日の坂道は全く名も無きものであり、達成感も感じることなく、ただただ苦行が続くだけであった。

そして暑さもダメージを降り注いでくれる。
光が強すぎてぼやけて見える道をひたすら進む。

坂道の途中「休憩所」という看板を発見し、水分を補給するために立ち寄った。
そこのおやじさんがうざかった。
ここまで登ってくるのに自転車を押して来たと思い込んでいたらしく、漕いで登ってきましたよ、というと「えーっ!え、自転車を手で押してきたんじゃなくて?手で押してきたんじゃなくて?」と何度も繰り返して聞いてきた。うっせい!
「どこまでいくんだ?」
「戸田です」
「う〜ん、今日中にはたどり着けるだろうな。ただ、こっから長いぞ。このさきずっと坂だぞ」
……わかったよもう。

一本ドリンクを開け、さらに一本買って出発である。
おやじさんが、ホントに漕いで登っているかいつまでも見ているようだ。最後までウゼー!!

しかし暑い。ここまで暑いとホントに熱中症など気をつけなくてはならない。
絶えずおぼれそうなぐらい汗をかいている。
途中見晴らしのいい場所があり、休憩がてら昼食。シャレで熱いほうのそばを食べてみた。
あまりの暑さに友達にメールで聞いたところ「南伊豆で30℃」しかないらしい。
ちょっとがっかり。

ようやく「←波勝崎」という看板まで来た。
ここでR136から一時外れることになる。
向かってみると「えっ下り?」。ブルーになってくる。
この下り坂はR136に戻るためにまた必ず登らなくてはならないからだ!

かなりのスピードが出る。しかも長い!「↑波勝崎あと3km」と看板。
3kmだと!? 親子サルが「もうすぐ会えるね!」などと吹き出しでぬかしている看板もあった。
知能の低いサルの分際で生意気なこと言うな!
理不尽なのは分かりつつ、戻ってくる時のことを考えて機嫌も悪くなる。
もうすぐ30になろうというのに……。

長い下り坂の先、駐車場と建物にたどり着いた。
どうやらここで入場券を買って、サルのいるとこまでバスで行かなくてはいけないらしい。
「なんで崎に行くのにわざわざ500円も払わなきゃいけねぇんだよ!」と心の中で毒づく……ものの、このまま帰るのも癪なので見ていくことにした。
一人でいるなんて俺だけだ。しかも上半身は裸……。
気持ちが凹んでいる時は心が弱くなるなぁ。だから振られた直後の奴は復縁とか願うんだろうなぁ……。
あんま関係ないこと考えていた。

バスを降りるとまず建物に入るのだが。くさい!サルくさい(サルの匂いなどしらないけど)!
ここは人間がえさを買って、それを建物の中から金網越しにサルにあげるというシステムをとっている。
えさを欲しがるサルがまた醜い。俺は絶対に買ってやんねーからな!

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外に出ることもできた。サルだらけである。しかし暑いせいか愛想も何もない。
日陰で転がって毛づくろいとか寝たりとかしてる奴らが多い。
とはいえ走り回ってる若造ザルもいてうっさい!
小学校の時、先生に廊下走り回っている時ヒステリックに怒られたのを思い出したが、先生もこんな気持ちだったんだろうか。
特に面白みも感じないまま戻ることにする……。R136へむけてつまらない坂道を必死に戻り、再び前進した。

今日はただただ坂道を一人で登っていた。
戸田を目指していくつかの町を越える。
西伊豆では行ってみたいところがいろいろあったのだがほとんどスルーしてしまった。
海水浴場は圧倒的に人が集まっていた。歩行者を優先するところはやはりうざい!
客観的にみればこっちが場違いなのだが。
ただ正直言うと久々に見る生ビキニの女の子達をみてドキドキした……ことは言わないでおこう。

坂のてっぺん辺りで次の町となる。
「○○(←町の名前)キター!」と叫ぶ。
そしてあっという間の下り。
そしてまた次の町へ登りはじめる。
それの繰り返しであった。下りの喜びには慣れはじめ、登りの疲労は蓄積されていく。

それでも声を掛けられるとやはり嬉しい。
上り坂の途中、若者達が乗った車が下って来たときも
「がんばれー」
「あと2分!あと2分」
の声にどれだけ救われたか。その後15分間坂道は続いたのだが。

あと思い知ったのは木陰の涼しさだ。
ちょっとした路肩の木陰に入ると「暑くない」ではなく「涼しい」と感じた。
さらに登り坂攻略のコツを今日も発見した。
呼吸に合わせて漕ぐと、ずっと楽になる。


■戸田

そんなこんなで16:00、戸田の手前、土肥までやってきた。
伊豆に来て初めてチャリダー2人とすれ違う。「おーい!」などと声を掛け合った。

ここは温泉街で、思っていた以上にずっと栄えている。
今日は僕の中の人も納得するぐらい頑張ったので、素泊まりで宿に泊まろうと途中で決めていた。
「今日はここで終わっちゃおうかなぁ……」との考えもよぎる。
あと1つの町分の坂すら逃げたいぐらいに疲れていたのだ。

だがやはり、それでは自分の中の人が許してはくれない。
絶対に戸田まで行くんだ!
土肥では自転車を停めずに一気に進んだ。

ほとほと疲れていたが、最後の力を振り絞って登る。
長い。やめておけばよかった……などと後悔しないでもないが、最後の感動の為に耐える。
やがて……「戸田」に入る看板があった。目の前には下り坂が見える。
「へ、へ、戸田キターーー!!」
自分でも頑張ったと思った。
残っていたペットボトルのドリンクを掲げ、一気に飲み干す。
ここから一気に下って、宿見つけて風呂入って美味いもん食べて、布団で寝られるんだ!
今日の全てが報われた。逃げ出さずにいてよかった。
下り坂に向かい、最後のペダルを踏み出した……。

下り坂、もちろん漕がずに進む。
一気に下ってやる!と思っていたら、あれれれ、角度がなくなり……止まってしまった。
「あんだよーまた漕ぐのかよう」と進むと、小さな上り坂になった。
「ったくめんどくせえなぁ」もう坂からは解放されたつもりでいたため、その程度の登りも面倒くさい。
ところが上り坂を越え左折すると……そこにはさらに登り坂がそびえ立っていた!

どうやら戸田に関しては、町に入ってからもさらに上り坂があったらしいのだ。
ここから先、普通の町と町の間ぐらいの距離が残っていた。
どうやらラスボスは死んだと思ったらさらに強いのが控えていたらしい。
ドラクエ4を思い出した。

それでも絶対にたどり着けるはずなので先は見ないよう、期待をしすぎないように登りつづける。
そして、いよいよ、ほんとの下り坂にたどり着いた。
もはや感慨はない。早く体を休めたかった。

17:10
やっと街にたどり着いた。

戸田は漁業の街であった。
高足ガニが有名らしい。
とりあえず素泊まりで宿を取る。海が目の前にある民宿だ。
5000円取られたが、ケータイ&デジカメの充電もできるうえ、風呂に入れる。
そして何より、プライベートが感じられる部屋で布団で寝られるのだ。安いもんだと思ってみる。

すぐさま大浴場に行ったら、今日も一人!
窓も大きく最高に気持ちがいい。
今日もばっちり体を洗って風呂から出ると、一枚の紙が張ってある。
「入浴時間18:00〜23:00」
やべ!まだ6時になってない!!
慌てて逃げてきた。

戸田は港なのだが、とにかく海が澄んできれいだった。
海の底まで見える。魚や子供のイカが泳いでいる。

飲み屋の客引きおばさん×2がうるさかった。
いろいろ食べてみたかったが宿に泊まるということでお金がない。
結局一人で飲もう!ということにした。

部屋に戻ると夕焼けの海が見える。

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布団をしきに来てくれたおじさんとしばし雑談。
この辺は気に入って住み着く人も結構いるらしい。
海の綺麗さとこの夕焼けを見たらさもありなんと思った。

布団で寝られることがこんなにありがたいとは久しく思っていなかったなぁ。
今日は頑張ったし、内P見ながら楽しく飲んだし。
ぐっすり眠れそうだ。


本日の走行距離 108.30km
TOTAL 313.13km

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