番頭の独り言…

2002/4/25
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No.13

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一匹の猫がいる
幸か不幸か野良ではない
猫であるが故に、人間よりも多くの時間を寝て過ごし、
起きている時間もほとんど毛繕いで費やす
生きるための欲はあれど、
存在証明に対する欲は極めて薄い
これも飼い猫ならではの“error”であろうか
目に映るものは雲と人間の移ろい
変わっているような変わらぬような
大事のようであり小事のようでもある
それでいて気にはなる……
時間の移ろいを示すが故か、
それとも本能がなせる業なのか……
己の毛繕いと同じくらい大切な時間のような気もする
たぶん、答えは永遠の出ないのだろう
いや、出さないでいるだけかもしれない
きっと、時間と語らうのが恐いのだろう
時間と語らえば、
いやでも死を意識させられる
死そのものはどうでもいいが、
その時間は知りたくない
だからこそ、毛繕いに時間を費やすのだ
毛繕いをしている時間は何も考えずに済む
ただ、ただ、一本いっぽんの毛に集中できる
これも至福の時間と呼べよう





いつになったら毛繕いをやめられるのだろう……


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