番頭の独り言…

2000/10/02
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しっかし、ショックやわ〜。このテのショックって、たぶん初めてだよな〜。もぉ、あまりのことに涙でそうになったわ。っつうのも、なんだ、いくらなんでもありゃないだろ〜、“検閲”教科書。えぇっ。そう、そもそものきっかけは……。
(ほぉわぁん、ほぉわぁん、ほぉわぁん、ほぉわぁん、ほぉわぁ〜ん)

週末に依頼された「中学生向け」の文章をどうにか書き上げた月曜の朝。いちお〜、その仕事を仕切っているK氏にチェックしてもらおうと、ひと揃いの原稿を渡した後だった。

K氏「ん〜、このへんの言い回し、難しいよ」
わし「えっ、相手は中学生でしょ。
   むしろ、全体的にガキっぽくてバカにしてない?」
K氏「いや、ガキでバカなんだよ」
わし「……12歳以上でしょ。あんまりなことは……」
K氏「とりあえず、小学校6年生の教科書、見てみてよ」
わし(社会科の教科書を開きながら)
  「いくらなんでも、そりゃバカにしすぎだ。
   ガキだって怒るぜって、……おぉっ!」
K氏「それで勉強したのが、今の中学生。
   教科書がそのレベルなんだから、合わせないとね」

そう、そこに広がっていたのは未だかつて目にしたことのない“荒野”だった。小学校6年生を対象にした歴史の教科書には、歴史なんてまるで書かれちゃぁいなかった。算数のレベルが下げられているってぇのは、テレビ・新聞で目にしていた。しかし、「まぁ、四則計算ができりゃ、そう目くじら立てることもあるまい」となめていた、というのが正直なところだ。だが、その傍らでは、社会科の教科書までも「暗記事項が多すぎる」というバカげた理由で、乳幼児向け絵本のようになっていた。
……、それはテストの形式を変えりゃ済む問題じゃねぇのかっ! んんっ! 問題を出す方がバカだから、暗記なんぞをさせることになるんだ。歴史に暗記しなきゃならねぇことなんぞ、一つとしてありゃしねぇよ。教科書に書いてあるこたぁ、教科書見りゃ済むんだろ。年号なんざぁ、年表見りゃいいじゃねぇか。大切なのは、教科書に書かれた歴史上の“点”をどう結びつけていくのか、今の自分にどうつなげていくのか、じゃぁねぇのかよ!
などという思いがぐんるぐんると駆けめぐると同時に、なぜだか涙がでそうになった。なぜだかはいまいちはっきりしない。怒りなのか、悲しみなのか、悔しさなのか、哀れみなのか……。いずれも当たっているようで、はずれているような気がする。ただひとつはっきりしているのは、わしは今まで以上に教科書というもの、教科書“検閲”制度というものが嫌いになった。

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